脳内会話

 さんざん「おなご様怖い」だの「恋愛を放棄している非モテ」だのいろいろ言っているが、モテたい気持ちが全くないわけではない。「1どころか…3はあるだろうよ…!生きてる以上…モテたいという気持ちは完全には消せない…!3くらいは混ざる混ざらざるを得ない…!」*1

 その気持ちがどんどん増えてくると鯛男とか「まぁ恋人ができたらできたでいいか…」と達観できたりとかするだろう。しかし、非モテをこじらせるような人間はそこで強烈な何か(自意識、自己愛など)が気持ちにブレーキを掛ける。非モテのことに限らないかもしれないが、気持ちが変わりつつあるとき、何かにはっと気づいて急に気持ちが冷めていったりすることが良くある気がする。

 そんなとき、非モテをこじらせた人間の脳内ではこんな会話が繰り広げられていないだろうか。*2(いや僕だけかもしれない)

俺1「達観してしまうのもアリかと…」

俺2「アリじゃねぇ!!」

俺1「だが、非モテも人間だ!!そういうのも認めなくては逆に自分自身を縛りつけて、何もできなくなっちゃうんじゃないか?」

俺2「……なぜ、縛らない?」

俺1「へ?」

俺2「きさま自分を縛っているものが――何もないのかっ!?」

俺1「え、いや、その……」

俺2「非モテがだ!ブログ書いてルサンチマンを発散させている仮にも非モテがだよ!!その非モテが厳しい世の中を――自分をきつく戒めながら、それでも立ち向かっていくという姿を!ほかの非モテに見せられんでどうする!?」

(中略)

俺2「おれは、たとえ死にそうにさみしい時でも!女性を落とす――いわゆる女性に穴をあけたことはないんだよ!」

俺2「もちろん今後もあけるつもりはいっさいないが!それが非モテとして最低限の縛りじゃあないのか!?」

俺1「ううっ、なかなか断言できないことを……ここまで言い切るとは!!」

俺2「見せようよ!硬派な……非モテの姿をさ!!がんばっていこうよっ、いっしょに!」

 一見、俺2は切羽詰って必死にモテを否定しているように見えるが、実際のところはそれほど苦しくもない。「真正面から必死にモテに抗う」ことは、自分の美意識に即した行動なのでむしろ喜んでやっている節もある。

 僕が決めた俺世界においては、そう生きることが求められ、また積極的にそれに加担する。ある意味、プロレス的お約束の世界に似ている。ロープに振られたら必ず戻ってくる。4の字を掛けられたら裏返って返す。そう考えると実に閉じた世界だ。

 非モテからはずれるけど、オタク界もお約束が大事な役割を果たしていた世界だったと思う。しかし、オタク界も質、量ともに再分化されて大きなお約束が機能しなくなってきたな。全日的オタクは、同じようなプロレスをする新日的オタクやNOAH的オタクとコミュニケーションできても、デスマッチ主体のインディー系団体的オタクとはファイトスタイルが全くかみ合わないもの。

*1:『天 17巻』からネタを持ってきました

*2:『吼えよペン 8巻』からのネタ。ちなみに吼えペン8巻は屈指の名作揃いです。かなりのお勧めです